こんにちは、大した意味もなくDvorak配列を使っているt-miyajimaです。
件名の通り、Dvorakerであれば誰でも一度は夢見る(?)、ハードウェアで実装されたDvorak配列のキーボードをついに注文してしまった件について書きます。
※Dvorak配列とは何か? についてはこの記事では割愛させていただきます。
目次
- ハードウェア実装されたDvorak配列キーボードが日本に売ってない件
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Vortex Poker3(KBC POK3R)という製品を発見
- 台湾にて捜索するも……
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最終手段(メカニカルキーボード.COMで通販)
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到着&写真レビュー(2016/03/13更新)
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操作・使用感レビュー(2016/03/21追記)
- 購入できるDvorak配列キーボード一覧(2018/12/13追記)
1.ハードウェア実装されたDvorak配列キーボードが日本に売ってない件
日本で購入可能なハードウェア実装されたDvorak配列キーボードはほぼありません。以下のブログにて記載されているような変態配列(バカにしているわけではありません)のキーボードなら買えるようですが……
もしくは、現在アマゾンもで購入可能なKinesisというキーボードならDvorak配列への変換は可能ですが……5万円もするのはちょっと高額すぎます……。
2.Vortex Poker3(KBC POK3R)という製品を発見
5年ほど前からどうにかしてDvorak配列のキーボードを購入できないかということを、たまに思い出しては諦めて、たまに思い出しては諦めて、という不毛な作業を何度も繰り返しておりました。まれに見つかるDvorak配列のキーボードはすでに販売していないor変態配列でした。手を出すには何かが足りない状況でした。
しかし2015年にメイドイン台湾のPoker3というキーボードを発見しました。キーボード裏のDIPスイッチを切り替えることでハードウェアレベルで(というか少なくともキーボード本体の機能として)Dvorak配列に変更可能であり、配列もHHKのようなコンパクトキーボードと同等で十分実用できると思いました。
3.台湾にて捜索するも……
メイドイン台湾なので、台湾に行けば売っているだろうと思い、先日の台湾旅行の際に探してみました。
しかし、台北の光華市場や台南駅前通り商店街(?)の電化製品屋さんを手当たり次第あたっても『没有』(無い)と言われ、どこにもありませんでした。Dukeyのキーボードはあったのに……。
4.最終手段(メカニカルキーボード.COMで通販)
帰国後、台湾でPoker3を見つけられなかった悔しさから体調を崩したような気もする私ですが、ついに海外通販でポチってしまいました。
Mechanical Keyboards Inc - The Ultimate Catalog and Guide.
メカニカルキーボード.COMというメカニカルキーボードを専門に扱う通販サイトです。ここではPoker3の取り扱いがあり、少し費用がかかりますが海外発送もしてくれるようです。
キーボード本体が135ドル、送料が42ドル、合計で177ドル=大体2万円くらいという計算です。結構高いですね……。
キーボードが到着次第、追記します。
5.到着&写真レビュー(2016/03/13更新)
ポチってから2週間でキーボードが届きました!
本当は詳しく記載したいのですが、まとまった時間が取れないので、とりあえず写真レビューだけでも更新したいと思います。
外装
箱の中に箱。内容物はキーボード本体とUSBケーブルのみ。説明書は無し。
ペットボトルとの大きさ比較(あまり参考にならない)
エンターキー周辺
CapsLock周辺
裏のロゴ。レーザー彫り?
キーボード配列を変更できるスイッチ。
LEDバックライトモデルだと光るパターンが変えられる。モード1だと全体が光る。
モード2だと押したところが少しの間光る。この写真だとLとJが光ってます。
モード3だと光る⇔光らないを交互に繰り返す(なぜ?)
今日はここまでです。
6.操作・使用感レビュー(2016/03/21追記)
キーボードが到着してから随分時間が空いてしまいましたが、このキーボード特有の操作や実際に使ってみた感想、工夫している点などを書いてみたいと思います。自分用メモも兼ねてます。
一旦設定してしまった後はあまり意識しないのですが、スイッチを切り替えてDvorak配列にするだけではなく、Vortex Poker3(KBC POK3R)には以下のような特殊な機能が搭載されております。(多分これで全部だと思う……)
- QWERTY, Dvorak, Colemakそれぞれの配列に変更(DIPスイッチ)
- 右下の方のキー(R-SHIFT,FN,PN,R-CTRL)をカーソルキー(↑←↓→)に変更
- ほぼすべてのキーがプログラマブルで最大32ストロークまで登録可能
- 3つのレイヤー(層)がありそれぞれでプログラマブル
- (RGBモデルの場合は)それぞれのキーの色がカラフルに変更可能?
- 一応メディアコントロールキーも搭載(再生とか停止とか次の曲とか)
- キーの入れ替えがわからなくなった時のリセット機能
とりあえずなんかすごいっす……。
6−1.Dvorak配列への変更
これはキーボード裏のDIPスイッチ①をON、②をOFFにするだけでOK。
QWERTYなら①OFF②OFF、Colemakなら①ON②ONです。
ちなみにDvorak時のキーボード配列は以下のようになります。escを除いて一般的な英字Dvorak配列だと思います。
※Windows OSで英字キーボードとして認識させた場合です。
esc 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 [ ] backspace
tab ‘ , . p y f g c r l / = \
caps a o e u i d h t n s - enter
shift ; q j k x b m w v z shift
(Left Shiftを押した状態だと)
~ ! @ # $ % ^ & * ( ) { }
“ < > P Y F G C R L ? + |
A O E U I D H T N S _ enter
: Q J K X B M W V Z
普通じゃないESCの位置のせいで『 ` 』という文字(一般的な英字キーボードであればESC下のキーで入力できる)がありませんが、『 ` 』を入力する場合は FN+ESC で入力可能です。でも個人的にはプログラマーではないので普段あんまり入力しないですね。プログラム言語によってはこの辺りが致命的になるのかもしれませんが……後述するプログラマブル機能を使ってESCと『 ` 』を入れ替えてしまえば解決するかも知れません。
6-2.右下の方のキーをカーソルキーに変更
(キー配列を入れ替えている場合でも)物理的な右ALT+スペースキーを押すと、右下の方のキーがカーソルキーになります。
よく分からないかもしれませんが、要は以下のようになります。
このキーボードには物理的にカーソルキーがついていないので、Excelでカーソルキーを多用する私のような人にとってはとっても便利です。(というか確か昔使っていたキーボードでレジストリいじって実現していたのは私です)
ただし、後述するプログラマブル機能を使っていると訳がわからなくなる時があるので注意です。
6-3.キーの入れ替え(プログラマブル機能) ※FNとPNとその他特殊キー以外
これはこのキーボードの2つ目の目玉機能と言っても過言ではありません。……が、いかんせんキーの入れ替えが目に見えないので混乱しがちです。
まず基本的な一例として、以下の手順を踏むと、レイヤー2で『b』というキーを押した時に『a』というキーコードを返すようになります。※デフォルトレイヤーはプログラマブルではないです。
- レイヤーを2に変更する(FN+LAYER2)
→LAYER2とか3とか4はキーに物理的に印字されてるのでわかりやすいです - FN+右CTRLを押す
→するとスペースキーのLEDが青色点灯します - bを1回押す(スペースキーのLEDが青色点滅に変化)
→Dvorak配列の場合、物理的にはnです。 - aを1回押す
→Dvorak配列の場合も、物理的にはaです。 - PNを押す(スペースキーのLEDが青色点灯に変化)
- FN+右CTRLを押す
→するとスペースキーのLEDが消灯します
上記手順は1つのキーを1つのキーに変更するので冗長な操作が含まれていますが、これを一般化すると以下になります。
- キーを入れ替えたいレイヤーに変更する(FN+LAYER2 or 3 or 4)
- FN+右CTRL(スペースキーのLEDが青色点灯)
- キーストロークを割り当てたいキーを押す(青色点滅)
- 好きなキーストロークを登録する(最大32キー)
→この時だけはこの操作での入れ替わりは反映されません - PNを押してキーストローク登録を終える(青色点灯)
- 3から5の操作を好きなだけ繰り返す
- FN+右CTRLで終了(青色消灯)
これを使うとキー配列変更だけではなく、ショートカットキー(Ctrl+Vなど)を1つのキーに割り当てることも可能です。以下に色々な例をあげてみます。
- CTRLとCAPSLOCKを入れ替え
→これは互いに入れ替えるだけなので簡単。CTRLをCAPSLOCKにしていたとしても『4.好きなキーストロークを登録する』では入れ替わっていないことになるので、問題なく入れ替えられます。 - ’キーをExcelのセル内の文字をすべてテキストとしてコピーする操作にする
→ F2 CTRL+HOME SHIFT+CTRL+END CTRL+C ESC を割り当てる(むずい) - ESCを ` と入れ替え
→ESCをFN+ESCに、FN+ESCをESCに割り当てると可能
実機がないとイメージ出来ないと思いますが、FNキーとの組み合わせのキーも入れ替えることができます。訳がわからなくなるので私はやってないですが……(^_^;)
これまた私はやってないのですが、キーストロークにディレイをかけることも可能なようです。『4.好きなキーストロークを登録する』のところでFNキーと特定のキーを押すとディレイ(1.5ms、0.1s、0.5sの3種類)を登録できるっぽいです。
FNやPN、その他特殊なキーストローク(レイヤーの切り替えのためのFN+LAYER2やプログラムのためのFN+右CTRLなど)はこの方法では変更できません。ただしFNとPNだけは次の方法で変更できます。
6-4.FNとPNの入れ替え
上記のやり方ではこれらのキーは入れ替えできませんが、DIPスイッチを使うと入れ替え可能です。
- Default以外の好きなレイヤーでDIPスイッチの④をONにする
→LEDバックライトモデルの場合はFNとPNが光ります - 入れ替えたい方(FNもしくはPN)を押す
→(LEDの場合は)入れ替え可能なキーがすべて光ります - FNもしくはPNと入れ替えたい通常のキーを押す
→すると1の状態に戻ります - 入れ替えが終わったらDIPスイッチの④をOFFにする
この入れ替えでは、通常のキーの入れ替えとは異なり、一方向の割当ではなく、完全に入れ替えとなります。
例えばFNと右ALTを入れ替えると、右ALTを押した時にFNとなり、FNを押した時に右ALTとなります。
また、右ALTとFNを入れ替えている時にDIPスイッチの④をONにすると、FNとPNが光るのではなく、右ALTとPNが光ります。つまり現在FNとPNが存在している位置が光るということです。
LEDモデルでない場合は、光さえありません。FNとPNの位置は覚えるしかないですね……。
6-5.配列のリセットの仕方
キーの入れ替えを色々やってたら訳がわからなくなった時に使います。私も1回使いました。
このリセットの際は、物理的なキーを押します。つまりどれだけキーを入れ替えていても物理的にこれらのキーを押せばリセットできます。多分。
- そのレイヤーだけリセットする……FN+Rを5秒長押し
- 全レイヤーをリセットする……ALTを両方5秒長押し
余談ですが、私はFNと右ALTを変更しているので、後述する日本語入力切り替え(左ALT+右ALT(FN)+ESC)を行う際に5秒くらいぼーっとしていると配列がリセットされるという危険性があります(笑)。
6-6.日本語入力の方法
FN+左ALT+ESC で日本語IMEをON/OFFできました。とっても面倒くさいですが、手の移動は大して無いのでそのうち慣れるのかと思いました。
FNを入れ替えている場合は入れ替えた方のFNを押してください。私は右ALTとFNを入れ替えているので、ALT両押しの後にESCを押します。
6−7.キーの静音化
時間があれば別記事で詳しく書こうかなぁと思っているのですが、私の購入した赤軸は底打ちの音がうるさいので静音化しました。
CherryMXの静音化で検索すると静音化リングがメジャーなようですが、2016年3月時点で通販されてないっぽいのと、動画で静音化効果を聞いたところそれほど静音化されていないような気がしたので、どうせならと思い徹底的にやりました。
具体的には複数の素材を用意して静音化リング同様キートップの中にはめ込み、静音化効果を比べました。結論を言ってしまうと、カインズホームに売ってたシリコンランチョンマットに穴あけポンチで5mmの穴をたくさん開けて四角く切ったものを2重にキートップへはめ込み、さらにCherry軸にシリコンスプレー(呉工業)を塗りたくってキートップを取り付けたところ、個人的にすごく静かになったように感じました。静音化リングと比べてどうかと言うと……正直なところ言葉でわかりやすく違いを説明するのは私には難しいです。かけた労力を考えると、静音化リングを秋葉原のツクモで買って取り付けたほうが楽でいいかも知れません。ツクモで静音化リングが売っているのを知ったのは静音化作業が終わった後でした(汗)
6−8.Windowsのショートカットキー(主にExcel)との戦い
仕事柄Excelでの作業が多いのですが、このキーボードに変更してからコピー貼り付けが格段に難しくなりました。文字列編集も難しくなりました。
右のキーをカーソルキーにしているので右CTRLが押せません。InsertキーとDeleteキーがFNとの同時押しでないと入力できません。つまり、コピー貼り付けをするために右ALT+SPACEで右CTRLを有効にした後に右CTRLとFNとなんかよくわからんキーの同時押しをしないとコピー貼り付けできません。読んでる人もわからんだろうけど、どういうこっちゃ(笑)
CTRL+CとCTRL+Vで良いじゃないかと疑問に思われる方が多いんじゃないかと推測します。QWERTY配列だと両方共左手で完結するのでそれで良いのですが……なんとDvorak配列だとCもVも右手が担当なので右CTRLが存在しない場合、CTRLを左手で、CもしくはVを右手で操作しなければいけないので面倒くさいのです。(なんでDvorak配列なんて使ってるんだろうって感じですよね……)
F2も無いので文字列編集をするために両手でFN+2を押さないといけません。カタカナ変換のF7もアルファベット変換のF10もFNとの同時押しです。コピー貼り付けに比べてこっちはどうにか慣れそうですが……。
あまりに不便なので、LAYER3をExcel専用にして、普段あまり使わない ' , . キー(物理的には q w e キー)に、それぞれ『セル内のテキストをすべてコピー』『CTRL+C』『CTRL+V』を割り当てました。これでお絵かき用の図形や同じ日付のセルなどを大量に簡単にコピペできるようになりました。
うーん……このキーボードに86キーくらいあれば完璧なんですけれど……。
6−9.なるべく基本配列を使う
このキーボードはほぼ完全なプログラマブルキーボードで、やろうと思えばすっごいカスタマイズができます。
しかし、色々考えて思ったのですが、あんまりカスタマイズし過ぎないほうが良いかもしれません。どうしても困っているところだけカスタマイズして、後は慣れるようにしたほうが、例えばこのキーボードが壊れた時に作業効率がガタ落ちするというリスクを低減できると思いました。
※これは完全に個人的な意見なのであんまり気にしないでくださいね。
6-10.メカニカルキーボードとしてはどうか?
物理的な作りについては、スペースキーがかなり大きくて「がちゃがちゃ」と揺れ動いて気になる以外は一般的なメカニカルキーボードなのかなぁと思います。
すみません、前にメカニカルキーボードを使っていたのが……多分10年くらい前になるのであんまり客観的な評価ができません……。
Cherry軸の打ち心地について。
赤軸の元々の性質と静音化の副作用による底打ち感の低減が生み出す超軽量ストロークは、私にとっては打ちやすいです。なんかもう打ってる感じがしません。指を乗せているだけ、と表現するのが適当な気がします。ぼーっと指を乗せているといつの間にかええええええええええええええええええええええええなどと打っていることが何回かありました。こら左手中指。
7.購入できるDvorak配列キーボード一覧(2018/12/13追記)
久々の更新です。
この記事を書いてから2年以上が経過しましたが、Dvorak配列キーボードの入手困難な状況に変わりはありません。
しかし世の中にはすごいことをしてくれている人がいます。
なんと、現在購入できるDvorak配列キーボードの一覧が掲載されているサイトを見つけました! ご紹介させてください。
Vortex社のキーボード以外はほぼ変態配列という(悲しい)現実を再認識できますね!
さぁ、Dvorakerの皆さんは黙ってVortex社のキーボードを買いましょう!(何
※もう僕はPoker3を持っているので買いませんが、ファンクションキーとカーソルキーが両方ついてるRace3が欲しくてたまりません(泣)
8.さらなる誰得情報(2018/12/13追記)
地味にGemini PDAのキーボード配列にDvorakが選べるらしいです。
Gemini PDA - 4G+WiFistore.planetcom.co.uk
しかし、日本語Dvorakerには悲しいことに、ハイフンを打つためのキーが本来の位置にありません。すなわち、右手小指のすぐ右にはエンターキーがあるということです。
また、ここ最近のキーボード付き端末というのもGemini PDA以外にほぼ存在していないという有様。いや、あるにはあります。GPD Pocketという端末です。
しかし、あれは文字入力するためのキーボードじゃない、というのが個人的な感想です。配列がDvoraker泣かせですしおすし。
いつになったらDvorakerどこでも手軽に文字入力できる環境を安心して手に入れられるのか……。無理かな……。
8.総評
- 物理的にDvorak配列になる英字キーボード! 個人輸入で約2万円!
- ほぼ完全プログラマブル! すごい! でもあんまり使わない!
- 凄くコンパクトなので机がすっきりする!
- ファンクションキーとか色々無いので同時押しがすごいことになる!
- メカニカルキーボードとしてはまぁまぁ良いと思います!
すみません、総評になってない気がします。
うーん……長所と短所があまりに遠く離れているので、個人的にはなんとも言いがたいキーボードだと感じました。でも2万円くらいしたのでしばらくは使ってみたいと思います。静音化もしたことだし。