どうも、年末年始の体調不良を完全に払拭したt-miyajimaです。
今回は、去年修理(?)したアンプ付きエレキギターの話です。
目次
1.概要
2年ほど前、エレキギターの回路をいじりたいなー、と思い立ち、ジャンクのエレキギターを購入しました。
SLP-180というギターです。ウェブサイトはこちら↓(僕は中の人ではございません笑)。
アンプとスピーカーを内蔵しているので、9ボルトの電池を入れることでギター単独で音が出る、というタイプの製品です。
さて、このギター、どのあたりがジャンクだったかというと、
- ボディにクラックがある
- ネックの反りがある
- 弦高がすごく高い
- 内蔵のスピーカーから音が出るか未確認
ということらしかったです。(販売者の説明より)
しかし、僕は楽器が演奏できないので、本当にジャンクなのかどうか、わかりません。
ボディにクラックがあると音がどれだけ悪くなるのかなんて、わかりません。
なので、とりあえず電池を繋いで音を出したり、分解して中を覗いたりして、あれこれ調べてみました。
※この作業を始めたのは2021年1月ごろの話です。
2.現状の把握
とりあえず、音は出ました。あと、勢い余って分解もしてしまいました。
すると、色々とダメな点が発覚しました。また、エレキギターを分解してみて、初めて気づいたこともありました。
調査して発覚したジャンクギターのダメな点
- 音量のノブを回して3.5くらいまであげると、音が爆発する(キーン!)
- なんか電波を受信して変なノイズが混ざる気がする
- 分解して中を見ると、配線の接続が拙い、というか分解中に線切れた笑
エレキギターを分解して、初めて気づいたこと
- さりげなくグランド線がギターの弦まで繋がっている
- →人間が弦を触ると接地するようになっている!
- ピックアップの線がめちゃくちゃ細い
- →これを変な位置で切断すると2度と音が出なくなる!
素人の僕にはネックの反りとかボディのクラックとかがどのようにダメなのかが体感できませんでした。よって、改善すべき点は2つに絞られました。
- 音量のノブを回した時に、音が爆発するのを防ぐ
- 全体的に内部配線を強くして、電波ノイズを防ぐ
これらを実現するために、色々考えてみました。
※分解した時の写真↓
3.素人ながら考える
エレキギターは全くの門外漢なのですが、弦の振動を電磁誘導としてピックアップで拾って、それを増幅してスピーカーを振動させていることは理解できます。
電波によって音を鳴らしている、というわけです。
だから電波が外部から侵入するとそれがノイズとして音に反映されてしまいます。
そこで、課題の一つである電波ノイズを防ぐために、やるべきことをいくつかに分割してみました。
- 本当に欲しい信号=ギターの弦の振動以外の電波を遮断するために……
- 配線に侵入する電波を遮断するために、シールド線を使う
- 基板に侵入する電波を遮断するために、基板をシールドする
- スピーカーから発生する電波を基板や配線に戻さないために、スピーカーをシールドする
- 全てのシールドを1つに繋げて、浮かす
以上の対策を実施するために、シールド線、銅箔テープ等を購入しました。
さて、もう一つの課題である、内蔵アンプの音量ノブを大きくした際に音が爆発する件については、全く対策がわからんでしたので、2021年1月の時点では思考を放棄しました。
4.しばらく寝かせる
なんということでしょう。
シールド線とか銅箔テープとかを購入したにもかかわらず、それから何一つ作業を行わずに1年と半年が過ぎました。
やろうやろうと思っていても長いこと手が付けられないことって、よくありますよね!
5.アンプの音割れ対策
さて、2022年8月になりました。
別の記事でも書いていますが、自分で決めた小説の締め切りが迫っていました。
でも、小説を書きたくなさ過ぎて、中途半端に取り組んでいることを全て片付けたくなっていました。
その一環で、このギターの改造にも再び着手し始めました。
アンプの音割れ対策ですが、何にもわからんながら、アンプとして使われているIC(NJM2073)の説明書をウェブで探して、閲覧しました。
すると、どうも現状の回路とICの標準回路とが食い違っているようです。
そこに活路を見出し、ICの標準回路に従っていない部品を取り外し、標準回路に近づくように電解コンデンサを追加する、ということにしました。
6.シールドの実装と、回路の改造
実際に、ギターにシールドをしていきます。
こちらはスピーカーが搭載されている部分です。
銅箔テープで覆います。
徹底的に銅箔テープで覆いました。
くっついているか不安な場所にははんだ付けもしています。
次に、基板やノブやイヤホンジャックが搭載されている部屋です。
こちらも、銅箔テープで徹底的に覆います。こちらもハンダ付でサポートしています。
そして、配線をシールド線でやり直します。
配線を全てハンダ付してしまうと分解が大変になるので、
今回はほぼ全ての配線をコネクタで楽に着脱できるようにしました。
基板を元の位置に置いて、配線がちゃんと全部収まるかを確認しました。
シールドは全て1つに接続しています。
これがICの標準回路に従っていなかった基板です。
少し部品を外し、元々存在しなかった電解コンデンサを2つ付けました。
全てを収めていきます。
正直、すごく狭かったです。配線だらけ。
7.結果
僕自身は楽器を全然やらないので、このギターを楽器を使う知人に評価してもらいました。
すると、知人だから多少プラス方向に色がついているとはいえ、
- 結構音がいい
- ノイズが入らない
という良い評価をいただくことができました。
また、音量ノブを3.5以上にすると音が爆発していたアンプですが、
改造を行うことで音量ノブを最大まで回してもきちんとギターの音が鳴るようになりました。
8.個人的な感想
ノイズが入らないようにシールディングを行う作業は非常に地味でした。徹底的にシールディングした上で最終的に音が鳴らない or 良くならなかったら辛いなと思いましたが、結果としては音をよくすることができて、達成感がありました。
また、現状の回路を分析し、標準的な回路と比較し、どこがおかしいのかあたりを付けた上で改造を行い、問題を解決する、という貴重な経験ができました。
副産物としては、アンプ付きエレキギターが手に入りました。
全体的に、すごく良い案件でした。