t-miyajima blog

直したり、作ったりが好きです。

自作キーボード工房を自作しました!

こんにちは!

この投稿は、2024年のキーボードアドベントカレンダーの9日目の記事です。

adventar.org

 

昨日の記事は、ぱぱパンダ氏の「2024年振り返りと来年の抱負を語ります!」でした。

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11個ものキーボードを組み、3Dプリンタで様々なものを作り、素晴らしい取り組みだなと思いました。僕も来年から見習わないとですね。。。

 

また、一昨日の記事は、YMG WORKSさんの「生まれたてのキーボードを連れて駆け回った1年」でした。

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2023年3月に開催した座談会に言及してくださりありがとうございました! 遠方から来てくれた皆さんと過ごした時間はとても楽しかったです!!!!!! 記事の最後にTHE End of the beginingという新作が載っていますが、非常に格好いいフォルムですね!

 

どうも、去年に引き続き今年もキーボード作ってない……かと思いきや、さりげなく基板設計してました、t-miyajimaです。基板設計していたのは自分のキーボードではなく、@Mil_KeyboardさんのCarry53というキーボードです。

2023年3月には自作キーボード座談会もやりました! それに、とあるキーボードキットの不具合の調査・対処もしてたりで、2024年は2023年に比べたら自キ活が多めだったんじゃないかなと思います。

 

さて、私は2022年10月30日から自作キーボード工房の自作を開始しましたが、

丸2年以上を費やし、ようやく工房が形になりました。

 

2022年と2023年は主に

  • 場所の整理整頓掃除
  • 工房の部屋資材の調達
  • 床の塗装
  • 折板屋根(トタン屋根のちょっと強いやつ)の塗装:途中まで
  • 薪ストーブの設置
  • 既存壁への板張り&断熱材設置

を行いました。この辺りは、去年のアドカレに書いた記事をご参照ください

dvorak55.hatenadiary.jp

 

 

2024年は主に

  • 外階段のサビ落としと溶接と塗装
  • 折板屋根(トタン屋根のちょっと強いやつ)の塗装:完了
  • 工房の部屋の設計
  • 工房の部屋骨組みを大工仕事で作成
  • 工房の部屋の天井張りと壁張り
  • 木屑の掃除と余った材料の整理整頓

を行いました。

 

全てを語るには長すぎるので、本記事では2024年の出来事から以下を抜粋してなるべく簡潔に記載したいと思います。

  • 外階段のサビ落としと溶接と塗装
  • 工房の部屋骨組みを大工仕事で作成

 

外階段のサビ落としと溶接と塗装

概要

工房の外階段は鉄でできています。

築何年なのかは不明ですが、塗装がハゲて相当錆びていました。

2023年に屋根塗りしている時点で、階段も塗らなきゃなぁ、と思っていましたが、億劫だったので先延ばしし、塗ったのは2024年4月〜6月となりました。

穴が空いている箇所があったので、溶接もしました。

溶接は非常に楽しかったのですが、屋根を塗るより、壁を塗るより、階段の塗装は大変でした。でも、ちゃんとサビ取りをして下塗りの塗料も塗ったので、まだまだ長持ちしてくれるだろうと思います。

サビの様子

↓サビの拡大写真 錆びてますよね笑

↓階段のササラ桁の根本の穴。構造から推測すると、ここには結露水や雨水が溜まる。水が溜まれば錆も進行する。

↓踏み板も場所によっては穴が空いている

↓階段の裏面です。裏面ってそんなに錆びないと思うけど、たぶんこれは結露でついた水で錆びてるんだと思います。


サビ取り

ディスクグラインダーにワイヤーカップブラシを取り付けて、ひたすらサビを削りました。

鉄の素地が見えるほどではなく、ひょうめんがツルツルになったあたりまでにしておきました。

サビ取りしたら雑巾で水拭きして塗装準備は完了ですね。

ビフォーアフター

溶接

穴が空いている箇所には、新しい鉄板を溶接してあげました。

SUZUKIDのArcury80 NOVAが大活躍してくれました。 

suzukid.co.jp

↓活躍してくれた溶接機

↓階段の踊り場の踏み板が、横の構造材から完全に浮いてる……構造材には雨が入り込み、穴が空いている汗

↓溶接箇所をハンドグラインダで削り、鉄の下地を出す

↓カットした2.3mm鉄板の1辺を溶接

↓ハンマーで鉄板を折り曲げる(この方法はあんまりよくない)

↓折り曲げた箇所を溶接

↓細かい箇所の塗装を剥がすのに使ったハンドグラインダ。これがなかったら細かい箇所の塗装を剥がすのが大変だったと思います

↓37キロもあるクソデカバイス。切り出した鉄板を曲げるのに大活躍。重いのは正義。

↓階段ササラ桁も溶接箇所の塗装を剥がす

↓折り曲げた鉄板を溶接し、強度を確保。

↓この箇所に水がたまらないようにコンクリを盛り上げ

 

外階段の塗装

屋根と同じで、下塗りをしてから上塗りを2回します。

最初は下塗りだけで済ませようと思っていましたが、気合い入れてちゃんと塗りました。

↓下塗りは白色で。上向きながら塗るの辛いぜぇ……

↓下塗りの後、上塗りへ。写真が少なくて申し訳ないですが、これは踊り場です。でこぼこしている面でもローラーを使えば綺麗に塗れるんです。

↓上塗り1回目完了。塗り残しがあっても2回目で全部塗ります。

↓上塗り2回目完了! 綺麗に塗れました。

外階段のビフォーアフター

↓ビフォー

↓アフター

我ながらよくできたと思います……!!!!!!

 

工房の部屋骨組みを大工仕事で作成

概要

部屋を作るのは人生で初めてでした。

土台や柱や梁桁を繋ぐ際、ビス金物方式か、ホゾ穴の木組み方式か、悩みました。

私はこれから木でキーボードを作っていきたかったので、勉強になると思い、木組み手法を選びました。

もちろん、差し鴨居を柱と組み合わせるだけで3日以上もかかるなんて、取り組む前の私は思いもしませんでした。

でも、組み上がった部屋の骨組みは非常に頑丈で、かけた苦労の分、これからの私の活動を支えてくれるだろうと実感できました。

使った道具等

角のみ機

丸ノコ

墨つぼ

さしがね

作業うま

カッターと鉛筆

 

設計図

最初は設計図をJWCADで作ろうと思いました。木組みの設計には適していたからです。

しかし、macOSで動作しないとのことで早々に諦めて、安心安全のNumbersで設計図を作成しました。

施工を進めるにつれて設計図に追加で記入する項目が増えてゆき、最終的には以下のような超細かい設計図になりました。

1つポイントがあるとするならば、木材のどこを基準とするのか、基準から穴の位置は何ミリなのか、きちんと把握できるように記入することです。

僕は1回ミスして、とある梁の位置が50mmほど当初の設計からずれています笑

窓側

去年、窓側には板を貼っています。なので、間柱は設置せず、天井を支える桁と障子枠を作成するだけです。

 

南側

こちらもすでに板を貼ってありますので、天井を支える梁を設置するのみです。

 

北側

壁を貼ります。なので間柱を多めに配置しました。また、斜め方向の力に耐えられるように貫を設置することにしました。正直、貫を設置するか迷いましたが、勉強になることは全部取り入れてやるぜぇ、と思って入れることにしました。これが後に(ry

 

入口側

最初は窓側と同じ普通の鴨居にするつもりだったのですが、入り口に使う引き戸の上桟サイズの都合と手元にある材料の上、差し鴨居としました。また、この面にも貫を設置します。

 

 

梁と桁(上から見た図)

天井を支えるための梁と桁ですが、2階を作らない都合上、一般的な木造建築に比べるとだいぶ少ないです。

一応、4mの木材を渡した上に僕が乗ってみても大して木材がたわまなかったので、部屋の天井を支えるのは強度的に問題ないと判断しています。





窓側の施工

ポイントは2点あります。

  • 窓手前に障子を取り付けて二重窓にする
  • 継手を用いた4m以上ある桁の作成

去年から今年にかけて実施した屋根の遮熱塗装と薪ストーブの導入で、冬に死ぬほど寒かった場所がそこそこ寒い場所に改善し、夏に死ぬほど暑かった場所が普通の暑さに改善しましたが、部屋を作らないとそれ以上の改善は望めないと思い、部屋の建築を急いでいました。

窓の手前に障子を取り付けるだけで二重窓になり、部屋の温度改善に効果があることは2022年9月〜10月にかけて実施したDIYにて確認済みでしたので、工房の窓も障子の二重窓にしました。

鉄骨のブレース(筋交)の隙間を2x4材で埋める

窓の手前に筋交があり、そのまま障子をつけると筋交の分だけ隙間ができます。

そこで、筋交を回避しつつ隙間を木材で埋めることにしました。

↓こんな感じですね。

↓障子枠のサイズに合わせて隙間を全部埋めました。

障子枠(敷居、柱)を設置

↓土台にホゾ穴をあける

↓障子の敷居の束のホゾを取る

↓ホゾ穴にホゾが入る

↓敷居と束を挿す

↓これで敷居に荷重がかかってもたわまなくなります

↓障子枠の左右の柱をホゾ差し 今回、柱のホゾは60mmとしています

↓敷居の左右を柱で支えるため、待ちほぞを入れます

↓待ちホゾに敷居をはめます

↓敷居が取付けられました

 

桁を追っかけ大栓継ぎで設置する

窓側の桁は4m以上の長さなので、手持ちの4mの材料では足りません。そこで、継ぎます。

継ぐ方法は、追っかけ大栓継ぎという方法を選びました。

↓桁の片方をこのように加工します

↓下手なので表面が荒れていますね

↓継ぐ桁の左右を同じように加工し、このようにはめます

↓何度か微調整を繰り返し、ピッタリはまるようにします

↓はめた後、横からこみ栓(大栓)を差します。15mm角のサイズです。

↓人からわけてもらった白樫で大栓を作ります。まず斧で適当に割ります。

↓ノミとヤスリで15mm角の穴に入るように加工します(まだ差しません)

↓桁を窓枠に乗せる前に、柱が差さるようにホゾ穴を開けます

↓梁が乗るための渡りあごの切り欠きも取っておきます。これが仕事をするのは骨組み建築の最後の段階なので、この切り欠きを取るのは非常に不安でした(梁の加工がだいぶ先になるので、これで正しいか現時点で現物確認できない)

↓鴨居を作成し、反っている側面を平らにしました。側面を平らにしないと障子枠と窓枠との間に隙間ができてしまうのです。

↓障子枠の柱の左右に、鴨居と同じ寸法で凹みを入れます。大入れ方式で鴨居を柱に取り付けるためです。片方の凹みが20mm、もう片方は10mmで、20mmの方に全部差して鴨居を持ち上げて、10mmの方にやりかえしてあげることで固定されます。

↓準備ができたので桁の追っかけ大栓継ぎをはめた上で、大栓を打ち込みました。

↓障子枠、そして窓側の桁が入りました。4m以上の桁を一人で持ち上げるのは辛かったです笑

桁と鉄骨が接している箇所は、L字金具で固定してあります。

北側の施工

以降、ホゾ穴を掘ったりホゾを取ったりする写真は省きます。省かないとこの記事が書ききれず寝れません笑

ここでもポイントは2つです。

・大量の間柱

・3mの貫

大量の間柱を立てる

↓北側の土台です。3363mm

↓北側の土台と、窓側の土台を大入れ蟻掛けで納めます

↓北側の土台と入口側の土台も同様にします。材料のサイズが違うので仕口箇所に段差があります。

↓北側と窓側の交差箇所の柱を立てます

↓窓側の桁が柱に乗りました

↓土台にたくさんホゾ穴をあけて、間柱と柱のホゾを取って、全て差しました

↓貫の厚みを15mmにするため、ノギスで厚みを測って削りました

↓間柱と柱に貫の穴をあけて、貫が差さりました(すごく大変!)

入口側の施工

ポイントは2点です。

・差し鴨居の作成

・6m以上ある桁を継ぐ

土台と間柱、貫は北側と同じ作業なので省きます。

差し鴨居の作成

入口ドアは引き戸としました。この引き戸は2023年11月に富山県の方から購入させていただいた昭和の引き戸です。

そのままだと引き戸のサイズにばらつきがあったのでカンナやノコギリで整えました。

↓戸直しカンナで上桟を削りました

↓結構削りました

↓段差の部分も削りました

↓差鴨居の材料です。成が175mm、長さ2700mmほどありましたが、両端は使いません。

↓差し鴨居の加工をしました

↓別アングル

↓差し鴨居の差さる柱への穴あけです

↓このように差さります

↓入るまで微調整を繰り返します

↓入りました。この時点で非常に頑丈です!

↓差し鴨居は鴨居なので溝を掘ります。なんと30mmの溝です。深すぎ

↓差し鴨居と柱が入りました!

↓引き戸を入れてみました。敷居が斜めになっているため微調整が必要です。

↓全ての間柱と貫が入りました。次は桁と梁です。

6m以上の桁を継ぐ

6028mmの桁を間柱と柱の上に持ち上げます。

↓追っかけ大栓継ぎの加工をします

↓柱と間柱が入るホゾ穴をあけて、とりあえず片方を持ち上げます

↓もう片方の桁を後から差します。窓側では継いでから持ち上げましたが、このように柱の上で継ぐのが正しいやり方だと思います

↓追っかけ大栓継ぎがきちんとはまりました。

梁の施工

ポイントは特にありません、一番楽な箇所だったと思います。

↓梁に、渡りあごの切り欠きを取って、桁にはめます

↓はまるとこうなります。渡りあごなので持ち上がらない限り動きません。

↓梁のサイズに合わせて渡りあごの切り欠きが違うのですが、他の加工に比べるとすごく楽です

↓北側の梁だけは間柱のホゾ穴があるので大変でした。

↓桁と梁が全て入ったら、もう間柱と柱は動かないので、貫に楔を打ちました

↓こうして、部屋の骨組みが完成しました。



ここから天井と壁の板を貼る作業があるのですが、ここでは省略!

完成した部屋の姿(2年前との比較)

↓2年前、掃除を始めた日の倉庫2階の姿です。

↓同じ場所から見ると、今はこうなっています

↓工房の入口

↓工房全体図

↓まだ何もないですが、作業スペース

↓薪ストーブでくつろげるスペース(工房は陽が当たらないので冬はストーブがないと生きていられません笑)※写真には写っていませんが、消火器を設置しております

今日(2024年12月9日)も薪ストーブを焚いて室温が14度まで上がってくれました! 私にとっては暖かいです笑

 

おわりに

2022年の8月から9月にかけてPonshu70というキーボードを自作した後、もっと同じような木工のキーボードを作りたいと思いました。

しかし、私にはそのための作業場がありませんでした。

もし、木工のキーボードを作るための工房を自分の手で作り上げることができたなら、キーボード製造・販売に取り組むにあたって立ち塞がるであろう様々な壁も乗り越えることができるはず。

そう信じ、Xで暖かく見守ってくださる皆様から元気を頂き、無謀とも思える工房自作に取り組み、どうにか形にすることができました。

この記事を読んでくださった人々、私に資材をお譲りくださった人々、小型冷蔵庫やソファーや絨毯をくださった大工さん、3月の座談会に来てくださった友人たち、そして何より建物の大家さんへ、感謝の気持ちを忘れずにキーボード製造へ取り組んでまいりたいと思います。

最初の目標は、キーボードの試作も兼ねて、工房で使うための自分のキーボードを作ることとします。

 

ら、来年こそキーボード製造の記事を書くんだからねっ!

 

明日は、ゆびながモンキーさんの「今年作ったキーボード」です!

 

この記事は、(多分)日本一重い自作キーボードPonshu70で作成しました。