t-miyajima blog

直したり、作ったりが好きです。

自作キーボード工房を自作する 〜室温編〜

こんにちは!

この投稿は、2023年のキーボードアドベントカレンダーの6日目の記事です。

adventar.org

昨日の記事はサリチル酸氏の「今年やった自キカツを振り返るよ!(in 2023)」でした。

salicylic-acid3.hatenablog.com

相変わらず素晴らしい記事! 今年は色々と数が減ってしまったと書いてありましたが、それでもかなりの数のキーボードを作ったり記事を書いたりと、個人的にはどうやったらそんな数のキーボードが作れるんだというレベルです。爪の垢を煎じて飲みたい。

また、サリチル酸氏の週報にてChavdai40%の再販を取り上げていただき、大変嬉しかったです。ありがとうございましたm(_ _)m

 

さて、今年は拙作のChavdai40%を再販させていただきました、t-miyajimaです。(2023年12月6日時点で、再販分が在庫なしになっており、現在在庫がありません。これから補充を頑張ります、お待たせしておりすみません…)

昨年のアドベントカレンダーの記事で超絶長文(というかすごい数の写真)の記事を投稿しましたが、その記事の中で作った木製の自作キーボードを改良したものを本格的に量産しようと思い、自作キーボード工房を作ることにしました。

しかし、自作キーボード工房を自作するなんて、簡単に始めようとするものではありませんね。去年のPonshu70製造の際にも途中でそんなことを思いましたが笑

2022年11月から工房予定地の掃除を開始し、2023年6月ごろに掃除やら片づけやらがほぼ終わり、それから床塗装・壁張り・屋根塗り・隙間埋め等と色々な作業を行いましたが、全体を通じて特に重要だと感じたのは、

「工房の室温」

でした。

お借りしている倉庫の2階は、冬はバケツの水が凍るほど寒くなり、夏は遠赤外線が天井から降り注ぐ程度に暑くなります。正直、それではまともに自キ活ができません。というか、普通に体調を崩します笑

そこで、特に重要と思われる以下の2点に絞り、暑さと寒さにどのように対策をしたのかをなるべく簡潔に書きたいと思います。

  • 屋根の塗装
  • 暖房器具の導入

以下は、それぞれの結果の写真です。

屋根の塗装結果。今年は部屋の上の部分のみ塗り、来年春にひさし部分も塗ります。

設置した薪ストーブ。炉壁は二重、屋根貫通部分の煙突は二重煙突にしました。

設置した薪ストーブの煙突。斜めに見えますが、屋根が少し斜めなので、煙突はほぼ真っ直ぐです。まだ屋根塗っていない箇所がお恥ずかしいですね。

 

1.屋根の塗装

●屋根を塗ろう

倉庫の屋根は折板屋根でした。鉄の屋根ですので、塗装が剥げると錆びます。

2023年4月ごろの状態は、以下です。非常に錆びています。

というか、土が積もっています。この土はかつて、葉っぱでした。そう、森からやってきた葉っぱは、放っておくと土になるのです。

土は水をよく保持します。湿った状態が続くのは、鉄の屋根にとって辛いです。

この状態をそのままにしておくと、近いうちに屋根に穴があき、雨漏りが発生します。そうなると、自キ活どころではありません。

なので、屋根を塗ることにしました。2023年7月ごろに決意しました。

これまで僕は屋根を塗ったことはありません。もちろん1から勉強です。

正直、2023年の8月は死ぬほど暑かったです。←校正時の消し忘れ

●塗料の選定

せっかく大変な屋根塗りをするならば、憎たらしい太陽光を反射できる塗料がいい。

そう思って色々調べると、遮熱塗料というのがあることを知りました。

・普通の遮熱塗料……いろんな塗料メーカーから出てる

・すごい遮熱塗料……マイナーなメーカーから出てる。すごいらしい

僕は後者を選びました。

まず、色。すごい遮熱塗料は白系。太陽光を反射するのはもちろん白色。

一般的には、屋根の色は濃色を選ぶのが普通らしいですが、そんな悠長なことを言っていたら僕は太陽光を受けた折板屋根から室内に放出される遠赤外線だか赤外線だかに焼き殺されてしまいます。

すごい遮熱塗料は遮熱と断熱を重視して白系。いいじゃん。こっちにする!

……と決めたわけではなく、偶然フリマサイトで安かったのですごい遮熱塗料を選んだ僕をお許しください。

●塗ろう

ただ塗ればいいのであれば塗装屋さんはこの世に存在しないかもしれません。

屋根を塗るためには色々と準備が必要です。

・汚れを落とす(普通は高圧洗浄機を使う、しかし倉庫に水道はないのだ)

・サビを取る

・サビ止め塗装(下塗り)

・ここでやっと塗れる

さて、倉庫の屋根面積は何平米あるでしょうか。

計算すると、120㎡ほどありました。

なんだ、たったの120㎡か!

そう思い、屋根の汚れ落としとサビ取りを開始した僕。

夕方、たったの10㎡もサビが取れず、途方に暮れる僕。

●テストして、工夫して、計画を立てよう

何事もそうですが、行き当たりばったりに取り組んで可能なことは限られます。

今回の屋根塗りは想像より遥かに時間がかかるようですので、単位時間でこなすことが可能な面積を算出し、必要な日数を計算した方が良さそうです。

色々試行錯誤し、工夫もして、1日でこなせる面積が判明しました。

・汚れ落としして、サビを取り、サビ止め塗料を塗る作業……1日で7.5㎡

・すごい塗料を塗る作業……1日で15㎡

!!!!!!たったのこれだけ!!!!!!

屋根全体である120㎡をこなすために24日かかる計算になりますね。

24日!!!!!!

もう10月でした。仕事もあるし雨の日はできないし風の強い日も無理なので、毎日屋根塗りできるわけではありません。

12月になって塗装をするのは、温度が低いし、寒くて大変だしで、やりたくありません。

なので、妥協して2023年中に塗る範囲を狭くして、15日程で終わるようにしました。

それでも15日。

●ひたすらサビをとって塗る

最初の方に試行錯誤をして手こずったので、1日増えて16日の間、僕はサビを取って塗りまくりました。

時に塗装した直後に少しだけ雨の降る日もありました。その時はマジで雨が止むように神に祈りました。神に祈ったのは人生初です笑

その甲斐もあって、雨による塗装への影響はほんの少しだけですみました。

●使った道具たち、人はそれを戦友と呼ぶ

↑刈払機の先端につけるワイヤーカップブラシ。弱めのサビはこれで取れた。

魔改造したデッキブラシ。この形により、折半屋根での掃除効率が3倍にアップする。

www.3mcompany.jp

↑写真はありませんが、3Mのベベルブラックというサビ取りディスク。

これを使うことでサビ取りのスピードが安定しました。

↑車輪付きの台。この道具を作らなかったら僕の膝や足は朽ちていたかもしれません。

●経過写真

サビとの戦いを開始した初日。右上の方から進めていきます。

右上部分をブラシで綺麗にしたの図。

さらにワイヤーカップブラシでサビを取るとこうなります。

サビをとった後、サビ止め塗料を塗った図。

↑遮熱塗料を塗った図。ここだけ綺麗!

↑次の7.5㎡のサビ止め塗料まで完了。

↑次の7.5㎡のサビ取りまで完了。この日は疲れからか最後のサビ止め塗料を塗った時の写真がない。

↑ワイヤーカップブラシからベベルブラックに変更した頃。これくらいサビをとっています。

↑次の7.5㎡ サビ止め塗料完了。

↑さらに次の7.5㎡のサビ止めが完了し、遮熱塗料を塗っています。

↑遮熱塗料が塗り終わり、次の7.5㎡のサビ止め完了。

↑森に近い方の屋根のサビ。これを……

↑こうじゃ!

↑サビを取り除きまくって光ってます。

↑サビ止め作業の効率が上がってきて、この日はいつもより1.3倍やってます。

↑屋根のサビが強くなり、サビ止め作業の効率ダウン。。。この日はいつもの0.8倍くらいです。

↑左上と右下の白かった箇所、遮熱塗料をもう1.5回ずつ塗りました。色が濃くなっているのがわかりますでしょうか。

↑森に近い方の屋根でサビ取りしてたら、ついに穴が空いたYO! 少しだけなので、パテで補修しましたYO!

↑今年最後のサビ止め塗料の日。高級なサビ止め塗料が尽きたので、普通のサビ止め塗料をふんだんに塗りたくってます。

↑そして、遮熱塗料を1.5回塗る。

↑最後に、遮熱塗料を1.5回塗る! これで今年塗る範囲は完了しました!

●評価

対策に対する評価を行いました。

と言っても、もう秋でしたので、簡単な評価です。

 ・日差しが屋根に当たっている時、屋根は熱くなっているか?

塗料を塗った箇所と、塗っていない箇所で、触って違いを確かめてみました。

違いは歴然。塗っていないところはかなり熱いのですが、塗ったところは冷たいと感じる程度でした。

これだけ苦労したのですから、夏が楽しみですね笑

いや、まだ来春の残り範囲の塗装しなきゃだ!

 

2.暖房器具の導入

●薪ストーブを入れよう

倉庫2階の面積は27畳程です。50㎡ほどあります。

エアコンでの暖房とするならば業務用3馬力くらいないとダメですが、そんなでかいエアコン、色々な観点から設置したくないです。

エアコンより業務用ストーブの方がまだ現実的です。でも、僕は石油ファンヒーターの暖かさがあんまり好きじゃないんですよね……。(わがまま)

色々悩んだ結果、なんとなく憧れていた薪ストーブを導入しようと決意しました。

田舎暮らしなので毎年木を切りますし、倉庫の隣は森なので、燃料の調達にはそれほど苦労しないんじゃないかなぁ、という感じの見切り発車で。

●2階に薪ストーブ

薪ストーブはめちゃくちゃ重いです。

だから、普通は2階に設置しません。運ぶのが難しいからです。

でも、自作キーボード工房は2階にあります。1階にすることはできません。

なので、頑張って2階に薪ストーブを運びました。90キロくらいありました。

運ぶのは友人に手伝ってもらいました。30分くらいで終わると僕が説明して友人を呼んだのですが、1時間以上かかったと思います。すみません。彼にはミニストップの美味しいスイーツとホットコーヒーをご馳走しました。

●煙突、炉台、炉壁はどうする?

最初、色々と甘く見ていた僕は、単管パイプを切り開いて溶接して煙突を作ろうかななどと抜かしていましたが、そんなのは早々に脳内会議で却下となりました。

様々な考慮を経て、以下の設計で進めることにしました。

・炉壁は二重とする。内側は2.3mm鉄板(耐熱塗装)、外側はトタンもしくはそれに類する鉄板とする

・煙突は真上に伸ばし、屋根に穴を開ける

・煙突は薪ストーブから一本は一重煙突を接続し、二重煙突に変換後に屋根出しとする

・炉台は単管パイプで組み、台には鉄板とコンクリート板を組み合わせる

●雨仕舞いはどうする?

屋根に穴をあけるんですよね。雨が入ってきませんか。

ということで、雨が入らないようにしなければいけません。

これが結構難しい。

色々と考えたりウェブで載っているやり方を勉強させていただき、穴を開ける箇所よりも上流(屋根勾配の上の方)全てを別の鉄板で覆う、という方法を取ることにしました。(非常に長くなるので詳細は省略)

●経過写真

炉台は単管を組んで地面から浮かしてます。ストーブ本体はコメリの306Aです。

内側の炉壁は2.3mm厚の鉄板をシャーリングで切ってもらいました。それらを単管に固定してオキツモ耐熱塗料シルバーを塗っています。

内側の炉壁の裏の重なり箇所は溶接しました。裏側も、この上から耐熱塗料を塗ります。

耐熱塗料は、鉄板表面の油をパーツクリーナーで取り除いてから塗りました。

外側の炉壁を取り付けました。これで空気層が2重になり、格段に安全性が上がります。

※炉台を構成する単管の中に可燃物があると危ないので、この時点で単管内部を細いパイプにつけた布で掃除していますまた、柱となっているパイプの内部に熱い空気が滞留すると危ないので、足から空気を吸えるように加工を行なっています。

煙突につけるストームカラーを自作します。型紙をパソコンで作成し、印刷して、トタン板を切り出します。

これを金切ばさみで切っていきます。

切った板に穴を開けてステン金具とステンビス、パッキンを取り付けて、組み込みます。

ストームカラーが完成しました

煙突に取り付けるとこんな感じになります。

※上記写真の後ろの方にフラッシングも作ってあるのですが、実用性はともかく、見た目がちょっとダサいので写真を撮っていません笑 すみません。

室内側の煙突固定箇所。単管パイプで煙突を挟み込み、固定します。

折半屋根の穴あけ箇所。必要ないかもですが、穴の周りだけ遮熱塗料を剥がして安全性を高めています。

遮熱塗料を剥がした後に、耐熱塗料を塗っています。(紛らわしい

穴あけ箇所の下流に、パッキン付きのビスで面戸を取り付けます。入ってしまった水が抜けるように、ここはシーリング材を充填しません。

穴あけ箇所の上流部分は雨仕舞いで塞いでしまうので、サビ取りして塗装します。

穴あけ箇所の上流の端に面戸を取り付けます。こちらは隙間をシーリング材で埋めて雨が入らないようにします。

面戸の間を雨仕舞いします。

雨仕舞いには、こういった鉄板を使います。

覚悟を決めて、屋根に穴を開けていきます。

屋根に穴が空きました。

フラッシングが入るように穴のサイズを調整し、入りました。

フラッシングが入った状態を、中から見た図。

一旦フラッシングを外して、二重煙突を挿入。

その上からフラッシングを挿入。

(途中の写真が足りていませんが)なんやかんやで煙突完成。風対策として、支柱を二本つけています。

●評価

対策に対する評価を行いました、と言いたいところですが、

この記事を書いている時点で、まだ慣らし運転の最中です。

安全対策のおかげで問題なく薪が燃えていることは確認ができましたが、まだ部屋が温まるほどの薪を燃やしておりません。

きっと、部屋を暖かくしてくれるでしょう、と期待をしています。

初めての燃焼なので、慣らし運転です。

3.環境を整えるということ

作業場はとても大切な場所です。

これまでの僕の作業場は家の中の部屋でしたので、エアコンもあれば、壁の中に断熱材もあります。

でも、現在制作中の作業場は、断熱もなければ屋根もサビサビでしたので、全て自分で整えてあげなければなりません。

毎日の作業量は劇的ではなく、作業が進んでいる実感がそれほど得られない中で、コツコツと作業していき、ようやくここまで辿り着きました。

1年前の「この場所でキーボードを作るんだ」という決意は、揺るいでいないようです。

来年のアドベントカレンダーには、キーボード製造の記事を載せられるよう、日々頑張ってまいります。

 

末筆となり恐縮ですが、X(旧Twitter)で途中経過をポストした際に、フォロワーの皆様からいいね!等の反応をいただき、大変励みになりました、ありがとうございました。

 

明日のアドベントカレンダーの記事は、You Tatekawaさんの「Fusion360でチルト付きボトムプレートの作り方を書きます」です。3Dプリンターのお話ですね。

僕は、今年1回だけカインズホーム3Dプリンターで工具を作ったことがありますが、出力の際に溶けたプラスチックがだれてしまい、やすりで整えたりしました、超初心者です。3Dプリンターも勉強しないとな……。

 

この記事は、(多分)日本一重い自作キーボードPonshu70で作成しました。あなたも重量が8キログラム以上あるキーボードを作ってみませんか? 対戦お待ちしております。