おはこんばんちは!
この投稿は、2022年の自作キーボードアドベントカレンダー12月9日です。
昨日の記事はIKeJIさんの「変則マトリクスキーボード設計」でした。マトリクス方式の違いによるスレッショルド電圧の違いを実際に計測されていて、めちゃくちゃ勉強になります。IKeJIさんはGoogleの面白いキーボードの作者で、僕は毎回その面白さに感心しております。(超褒め言葉です!)
2021年は自作キーボード活動をほぼしておらず、Chavdai40%の終売を宣言する記事しか投稿しませんでした、t-miyajimaです。あ、いや、ピンク色の左手キーボードだけは作りました。(記事にはしていないです)
2022年も何もないかと思いきや、重量8キログラムのポータブル自作キーボードを作ることができました。
この記事では、Twitterで呟いた製作時の話を短くまとめつつ、書き切れなかったことの中でも面白いことや特筆すべきことを中心に追記していければと思います。
目次
- 1.経緯
- 2.試作
- 3.材料の調達、荒く切り出す
- 4.穴を掘り、キーボードを嵌める
- 5.左右の結合
- 6.ビス穴の穴あけ、リストレスト滑らか宣言、HDMIケーブルの自作
- 7.一旦の完成、そして小説の〆切は過ぎた
- 8.沼その1:表面をピカピカに磨く
- 9.沼その2:重量化
- 10.完成、重量測定
- 11.Ponshu70の誕生
- 12.終わりに
1.経緯
これは2020年10月ごろに作った自作キーボード Dobrock69(どぶろく69)です。
左右分割型で、HDMIケーブルで接続しています。マイコンは1つしか搭載しておらず、左右の結線は単純に配線を這わしているだけです。
※Dobrock69については、以下の過去記事で詳しく書いております。
2年近く使用していて、使いやすいように角度を調整し続けた結果、上記写真の配置が最も楽でした。
しかし、この配置、キーボードを移動するのが非常に大変。。。
文章を書こうにも、こう、キーボードの角度調整とかに時間をかけていると、文章が書けません。
この時、2022年8月12日でした。
3年前から構想を練っている小説の締め切りの日(8月31日)が目前に迫っていました。
この締切はいつまで経っても小説を書き切ろうとしない僕を叱咤激励する意味で友人に決めていただいたので、なんとしてでも守らなければいけません。
でも、締め切りが迫るにつれても小説のペースは全然上がりません。むしろモチベーションだだ下がり状態でした。全然やる気が出ませんでした。
どうせ小説のやる気が出ないのだからと言い訳をしつつ、僕は以前から作りたいなあと思っていたDobrock69を包み込むような木のケースを作ろうと決心します。
もちろん、後戻りできないように自作キーボードコミュニティで「作ります!」宣言もしました。
2.試作
まず、紙粘土でケースの形やキーボードの角度をイメージしてみました。
テーブルの上を占拠しないように、コピー用紙の上に紙粘土ケースを構築していきます。
手前側にリストレスト部分を構築しています。
リストレストもケースと一体化させて、別々に移動しなくても大丈夫! にしたかったのです。
手前側がだいぶ分厚いですね。
キーボードに逆チルト(向こう側が低く、こちら側が高い)をつけたかったので、リストレストは結構高い位置になります。
こんな感じになりました。
この試作では左のみですが、左右を1つのケースにするとなると、だいぶ大きなケースになりそうだなと想像がつきました。
3.材料の調達、荒く切り出す
自分で手作りするとなると、ケースの材料は木材を選ぶしかありません。
アルミやステンレスを選んでもお金をかければ作れそうですが、木材であれば失敗した時のダメージが比較的小さいというのもありました。
紙粘土でイメージした形を採寸すると、どうやらだいぶ大きな木材が必要です。
僕は材料として、古い碁盤をチョイスしました。安かったですし。
以下、碁盤をケースの形に荒く切り出していきます。
最初はノコギリで切ろうとしました。
そのうち気づきました。
分厚い木材ってノコギリで切断するの、超絶大変なのですね。。。
しかも、45センチほどある碁盤を切るには、うちにあるノコギリの刃の長さじゃ全然足りないのです。左右から刃を入れていかないとなのです。辛い。。。
なんか切れたように見えます。
でも全然切れてないの。奥の方が繋がってるの。
疲れ果てた僕は文明の利器を取り出します。
そう、今話題のチェーンソー☆(話題の方はチェンソー表記)
碁盤が一瞬で切断できました。これまでの苦労はなんだったんだ。
苦労を無かったことにしたくないので、今までノコギリで切っていた箇所はノコギリで切断しました。チェーンソーで碁盤が半分になっているので、すごく切りやすくなりました。
切り出された木材。
Dobrock69を置く部分もチェーンソーでぶった斬りました。
いい感じに角度がついた気がします。
切り出し終えた木材にキーボードを乗せてみました。なんかいい感じ!
角度もちゃんと逆チルトになっています。
ノコギリによる疲労からやる気が激下がりしていましたが、完成形をイメージすることができて、やる気が戻ってきました。
4.穴を掘り、キーボードを嵌める
木に穴を掘る方法、色々考えました。
世の中にはルーターという便利なものがあるらしく、それを使えば均一の深さの穴を開けられるらしいです。でも、このキーボードのためだけに新たに電動工具を買うのはなるべく避けたいと思っていました。
とりあえず、キーボードをはめ込むための穴は、ドリルとノミで行うことにしました。
この方法であれば、ドリルの刃を購入するだけですみます。
さて、Dobrock69の形を木材に墨付けして、その内側に1センチメートルほどの穴を大量に開けます。夏の気温差。
このドリルビットは1センチメートルほど穴をあけるとそれより深く刺さらなくなっていて、その点では非常に楽でした。
穴を開けたら、ノミで掘っていきます。最初は床置きで掘っていましたが、すごく疲れるので途中からは高さ調節のできる台に乗せて掘りました。
この台はある程度の振動をバネで吸収してくれるので、作業をしていてもうるさくなくてよかったです。
ドリルで穴を開けずに全部手彫りでやっていたらどうなっていたか、想像するのはやめておきました。ドリルであらかじめ穴が空いていると、掘る深さを考える必要がなくて、非常に楽でした。
かなり綺麗に掘れてきました。
すごく綺麗に整いました。
でも、まだ入らないので微調整が必要です。
当たっている箇所を丁寧に削って、Dobrock69がはまりました。
結構綺麗にすっぽりとはまりました。
ちなみに、ドリルで穴を開けてからノミでこの穴を掘るのに本気でやって半日以上かかっています。ノミで木材を掘る作業は地味に腕が疲れるんだということを、初めて知りました。
でも、穴に入ったDobrock69を見て、なんだか嬉しくなってきました。
さて、次は右側です。
やることは変わりません。穴を開けて、ノミで掘る。
はまりました。左よりも時間はかかっていませんが、辛さは同じでした。
ちょっとだけ左右で嵌り具合が異なります。仕方ないよね、と自分に言い聞かせます。
5.左右の結合
そろそろ、この記事を書いているのも辛くなってきました。
写真何枚あるんだ笑
手彫りとはこうも時間と手間のかかる作業なのだなと改めて思い出しています。
さて、ここで新たなる文明の利器、BOSCHのマルチツールが登場します。
……電動工具を買うのは避けたいとか言っていた僕ですが、今後やらなければならない作業を考えると、マルチツールだけは無いと死んでしまうのではと不安だったのです。
そのマルチツールを使って、左右を繋ぐケーブルが入る凹みと、USB-Cケーブルを指すための凹みを加工しました。
室内でやると粉塵がやばいので、途中から外での作業に変更しています。
マルチツールを使うついでに、リストレストの高さを調整し、角を丸く削ったりもしています。
あっ、なんかキーボードの中央にAppleのタッチパッドが置いてありますね。
もしかしたら嵌るかもなー、できたら置きたいなー、と思っていたので、このタイミングでマルチツールを使って凹みを作りました。
これらの作業も、地味に半日以上かかっています。
ケーブルを挿してみました。挿さっただけでも、少し感動しています。
手を置いてみました。
もう、ほぼ完成形と言っても間違いではないかもしれないくらいです。
マルチツールでリストレストの高さを削った際、木材が焦げてます。
振動による摩擦熱が発生して、ということです。
あと、リストレストの左側にはマルチツールで削りすぎてしまった傷がついています。
これは完成した今でも残っています。
このタイミングでDobrock69のスタビライザーの調整をしました。
このキーボード、基板が0.8ミリメートルの厚さで、手の込んだ衝撃吸収構造をしています。衝撃吸収素材はマジックテープのふわふわの方です。全て手で切り貼りしているのでめちゃくちゃ手間でした。2度と作りたくないと今でも思っています笑
ふと、このケースを立たせてみました。キーボードを自立できるのって、案外いいかもしれないですね。飾るのにスペース取らない。
6.ビス穴の穴あけ、リストレスト滑らか宣言、HDMIケーブルの自作
Dobrock69はタミヤのミニ四駆パーツのM2サイズのネジで留めています。
今回のケースに嵌めただけだと逆さにしたときに落ちてしまうし、打鍵時の感触も良くないので、ケースを貫く形で留めます。
ネジ穴の位置に墨付けして、細いドリルで長い穴を開けます。
ちなみにこのネジ穴、面に垂直になっててません。斜めになってます笑
長いネジが必要になるので、タミヤの長いM2ネジを新たに調達しました。
いい感じにネジ留めできました。
さて、ここで3つの作業を行いました。
1つ目は、リストレストの滑らか化です。
ここまでは角張っていたのですが、ある程度形が確定してきたので、手を乗せた時に違和感を感じることのないように、マルチツールで滑らかに削りました。
上記の写真で、リストレストの左手を乗せる部分、ちょっと茶色くなっているのがわかると思いますが、これはチェーンソーのオイルです。これが残ってしまうのは、あんまり良くないですね。。。
2つ目は、HDMIケーブルの変更です。
ここまでずっとHDMIケーブルがケースの外に飛び出していました。
せっかくならケースにケーブルを内蔵したいところです。
色々悩み、超短いHDMIケーブルで接続することにしました。
マルチツールで左右を結合するために邪魔な部分を削り取り、超短いHDMIケーブルを作成しました。
ケーブル制作時、端子と線をはんだでくっつけたのですが、なぜか人生で最も難しいハンダ付けでした。なんでだったんだろ。。。
3つ目の作業は、全体の滑らか化です。
ビフォーアフターがなくてわかりにくいのですが、マルチツールでケース全体を滑らかに削りました。
ボッシュのマルチツール、本当に便利なので自作キーボード制作に1つはあっていいとおもいますよ!!!!!!(アフィリエイトではありません笑)
7.一旦の完成、そして小説の〆切は過ぎた
ここまで長かった……!
もうほぼ完成形と言っていいレベルになっています。
いやぁ、久々に自作キーボード頑張って作ったなあ……
重さを測ると、大体3.3キログラムほどでした。
なかなかに重いなあ……。
この日はまさに、小説〆切の8月31日。
もちろん、小説は完成しませんでした。
僕の自己紹介に「一番苦手なのは小説を書くことです」という一文が追加された日でした。
!!! ATTENTION !!!
ここから先はキーボード沼です。
!!! ATTENTION !!!
8.沼その1:表面をピカピカに磨く
マルチツールで表面を削っていた時からずっと考えていたこと。
それは、表面をピカピカに磨きたい、ということでした。
色々悩んだ結果、ホームセンターで売っている裏がマジックテープタイプの紙やすりを、マルチツールのサンディングパッドに貼り付けられるように三角形に切り取り、それを用いて滑らかにすることにしました。
80番手、120番手、240番手、400番手と、勉強した通りに少しずつ番手を上げてケースの表面を磨きます。粉塵がすごいので、外で扇風機まわしながらゴーグル装着して作業しています。
やすりがけ後、カルナバ+蜜蝋+胡桃オイルのワックスを塗っていきます。下の写真は、リストレストの左側だけ塗った図です。
塗った前と後でこんなに違います! この作業超楽しい。
全体に塗り終わりました。
やばい! 艶やかな感じがする!
艶が出ている! 嬉しいい!
調子に乗って色々な角度で写真を撮っているのが思い出されます。
とってもいい色になりました。
9.沼その2:重量化
ここでふと、このキーボードに鉄板付けたらすごく重くなりそうだな……などと思いました。
思って、しまいました。
思い立ったが吉日。
いつの間にか僕は、重いものを発注していました。
ここから先が結構長いです。
なので、重量化の中でも作業を分けます。
9ー1.重量化:持ち手をつける
自作キーボード界隈では、重いキーボードを床に落として散々な目にあっている人のお話をよく聞きます。
だから、このキーボードを重量化するなら持ち手がないと危険だなと思いました。
まず、持ち手を取り付ける場所を決めます。
幸い、このキーボードケースは分厚いので、大きめの持ち手を取り付けるだけのスペースがありました。
このキーボードに持ち手が付いたらさぞかし格好いいだろうなと想像しながらキーボードを立たせている図です。
数日後に持ち手が届きました!
これはタキゲンのステンレス取手、A-1080-2です。
https://www.takigen.co.jp/products/detail/26005570100
うわぁ……超格好いい……!!!!!!
しかし、先に持ち手をつけてしまうと今後の作業がやりずらくなってしまうので、実際の取り付けは後にします。
9ー2.蛇足:白棒と青棒で研磨
重量化のために発注した鉄板を磨くために、白棒と青棒を購入しました。
これでケースを磨いたところ、かなり艶々になることが判明しました。
めっちゃ頑張って全体を磨きました笑
9ー3.重量化:鉄板の手配と加工
「重さは正義」
自作キーボード界において、時折耳にするワード。
今回、大きいサイズのキーボードケースを作成するにあたり、どうせならと、8キロ超えの重量を目指すことにしました。
8キロを超えれば、恐らくほぼ全てのキーボードより重いはず。
そう信じて2枚の鉄板をきりいた.comに発注しました。
こうして届いたのがこの2枚です。
黒い方は内部プレート用の黒皮で厚さ9ミリ、約1.7キロ
白い方は底面プレート用の酸洗で厚さ4.5ミリ、約3.3キロ
これだけで合計5キロなので、この時の僕は余裕で8キロ超えられると思っていましたが、実際は8キロギリギリでした(穴あけと研磨で減量してしまった)。
9ミリの厚さの鉄板を人生で初めて購入しました。
酸洗の鉄板をケースの裏に当てて完成形をイメージ。
3キロ以上あるのでネジ穴は15ヶ所と決め、ポンチと鉄鋼ドリルを用いて穴を開けました。ネジ1箇所につき大体200グラムの荷重がかかる計算ですね。
穴あけ最中の写真が無いので、代わりに穴あけ中に登場したトカゲ(カナヘビ?)さんの写真。うるさくしてごめんね。
穴あけして皿もみ加工した後、洗っていきます。
夏の日差しを受けて鉄板が熱くなっています。
今回 底面プレートが酸洗なのは、自分で鉄板を研磨して鏡面仕上げにしたかったからです。
黒皮だとまず黒皮を取り除く必要があり面倒です。酸洗なら表面が柔らかいので比較的研磨しやすいらしいのです。
とは言いつつも、結果を先に書くと鏡面仕上げは失敗しました笑
表面についていた油がきれいに取り除けました。
少しだけですが、もう錆が発生しています!
底面プレートを磨いていきます。
今回は電動ドリルに使えるマジックテープ方式の125mmサイズのアタッチメントを使いました。
120番、240番、400番で順に磨いたよう気がしますが、その日の作業があまりに辛く、記憶が曖昧です。
磨けているような気がします。
しかし、この時の僕は研磨初心者。
一定方向に磨くとか、同じ速度で研磨剤を動かすとか、わかっていませんでした笑
アタッチメントをヤスリからバフに付け替え、白棒、青棒、ピカールねりをこねくり回しながら研磨を続けました。
今思えば、テストと経験が圧倒的に足りなかったのです。
ひたすら根性で磨いていました。
最終的に、鏡面になりませんでした😢
比較対象のため、何もしていない裏面の写真。
次は、死ぬほど頑張って磨いた表面の写真。
なんか、こう、磨いたんだね、みたいな感じですね笑
でも、鉄の光沢がいい感じじゃん♪ と開き直りつつ、鉄板の表面をピカールねり→アルコール脱脂できれいにしました。
鏡面ではないけれど、いい感じです!!!!!!
さて、このままでは錆びてしまうので、カルバナ+蜜蝋+くるみオイルのワックスを薄く塗っていきます。ワックスを塗った後は、軽く乾拭きしました。
ワックスは放っておいたら5日くらいで硬化しました。
この記事が掲載される頃は、この作業から2ヶ月以上経過していますが、今でもこの鉄板には錆はほぼ出てません。1箇所、いつの間にか傷ついていた所があり、そこはワックスが剥がれて錆びていたので、ピカールで磨いて再度ワックスを塗っておきました。
9ー4.重量化:鉄板1号をケースに取り付ける
鉄板のワックスを乾燥させた後は、ケースを加工しました。
具体的には、鉄板の大きさに合わせて、ケースを4ミリくらい掘ります。
ルーターなんていう文明の力はありません。
全てノミで手彫りです。4ミリという中途半端な厚みなので、ドリルも使えません。
なぜ一律4ミリ削らないのか。
なぜ外周を残すのか。
疑問が頭をよぎります。
でも、外周が残っていた方が、多分格好いいです。
写真だとサイズ感が分からないので大したことないように見えますが、めっちゃ辛かったです。
僕も、こんなに辛いとは思っていませんでした笑
途中で削りかすの重量を測りました。
削りかすだけで150グラムくらい軽くなってるんですけどー!
この直線を出すのが辛い
よく頑張ったなと思います笑
あとちょっと
ほぼ完成しました。
掘り初めから2日以上かかっています。
鉄板をはめます。はまらないので微調整しています。
微調整後。(微調整で1時間くらいかかりました)
はまったあああああああああ!!!!!!
かなりきれいに掘れた気がする
逸る気持ちを抑えきれず、ネジ穴を取り付けていきます。
ネジ穴は、M4サイズの鬼目ナットを使いました。木の素材にネジ穴を取り付けられる便利アイテムです。
ネジ穴取り付け完了!!!!!!
鉄板の取り付け完了!!!!!! ※皿ねじはステンレスです。
この時点でこれまでの苦労を思い出しながら、感動してちょっと泣きました。
人生で2度目です、自分のやったことが報われて泣いたのは。
9ー5.重量化:持ち手を取り付ける
鉄板1号がケースに取り付けできたので、次は持ち手を取り付けていきます。
ちなみに、持ち手の取り付けを後にしたのは固定するための木ねじが鉄板に干渉しないようにするためです。
持ち手を固定するねじはM6サイズのステンレス木ねじなので、あらかじめケースに穴を開けます。この穴、ケースが割れないように直径を二段階に分けて開けています。
具体的には、確か4.5ミリメートルのドリルで下まで開けて、次に5ミリメートルのドリルで途中まで開けています。
タキゲンの取手の接地部分が平なので、それに合わせて14年くらい前に購入したハンドルーターでケースを平らにしました。※この部品はタキゲンの取手ですが、このキーボードの部品としては持ち手と呼称しています。
そして、木ネジで慎重に持ち手を取り付けます。あまりにキツイ場合はケースが割れないようにドリルで穴を広げるつもりでしたが、あらかじめ碁盤の端材でネジ穴のサイズをテストしていたので、ちょうどいい強さでネジ締めが出来ました。
これで、持ち運びが安全にできるようになりましたね!!!!!!
この時点でこのキーボードの重さは6キログラムを超えました!
9ー6.重量化:鉄板2号の加工と取り付け
持ち手が付いた時点で少しやる気がなくなりました。
ぱっと見完成したからです笑
でも、(多分)日本一重いキーボードを作るという目標を途中で投げ出すのはダメだと思い、再び腰を上げました。
鉄板2号はクローゼットの中で僕を待っていました。
サイズ感です。
黒皮の鉄板も鉄工ドリルを使えば比較的スムーズに穴が開きます。
今回は穴あけ時の写真はなしで、いきなり穴が開いた後の写真になります。
裏。
鉄板1号の時同様、ワックスを塗ります。黒い部分は黒皮なので基本的には錆びませんが、なんとなく全体に塗りました。穴を開けた箇所は錆びやすいので綿棒で念入りに塗りました。
幕間:このキーボード、持ち手のところがスマホ置き場になります笑
ワックスを塗った後、鉄板を埋め込む場所を決めて、ケースに墨付けをします。(どうでもいいのですが、墨付けという単語を毎回忘れます)
墨付けした箇所に穴を開けます。
鉄板2号は厚みが9ミリメートルなので、1センチメートルの深さの穴をバンバン開けてからノミで削っていきました。この方法だとだいぶ楽ですね。
あっという間にはまりました。実際はあっという間ではないのですが笑
ドリルを使ったので鉄板1号の倍ぐらいの速度で掘れました。深さは倍なので面積あたりの作業時間はそれほど短縮していなさそうです。
よく見ると鉄板がちょっと出っぱっていたので、紙やすりでケースを削ることで微調整を行いました。
紙やすりで削るのは室内だと辛いので外に移動しています。
鉄板がピッタリはまりました。微調整なのに1時間くらいかけています。
完成した鉄板2号の穴
場所を室内に戻し、鬼目ナットを8個埋め込みます。
ちなみにこのキーボードを作るに際し、鬼目ナットを鬼目ナットのメーカーから直接購入したので、結構余っています。
そしてあっという間に鉄板2号がケースに装着できました!!!!!!
この時はさすがにそれほど感動はしませんでした笑
10.完成、重量測定
全ての作業が完了しました。
あとは最終重量がどれほどになったのかを測定するだけです。
ただ、残念なことに我が家にある電子計りは5キログラムまでしか測定できません。
そこで、部品ごとに重量を測定することにしました。
碁盤だった部分:1826.1グラム
鉄板2号:1672.9グラム
鉄板1号:3096.6グラム
ネジ類:49.2グラム
タキゲンの取手:336.5グラム
Dobrock69の部分:1111.9グラム
合計
1826.1グラム
1672.9グラム
3096.6グラム
49.2グラム
336.5グラム
1111.9グラム
⇒8093.2グラム
……ということで、無事に8キロ越えの自作キーボードが誕生しました!!!!!!
鉄板たちを取り付けるためにケースをだいぶ削ってしまい、想定していた重量よりもだいぶ軽くなってしまいましたが、余裕で8キロを超えるだろうという重量を想定していたので、8キロをどうにか超えることができましたね……危なかった……
11.Ponshu70の誕生
さて、(多分)日本一重いキーボードが爆誕したのですから、名前をつけなければなりません。
元となるキーボードがDobrock69という名前でしたので、いろいろ悩んだのですが、今回完成したこのキーボードを「Ponshu70」と命名しました。
Ponshu(ぽんしゅ)は日本酒のことです。木のケースを身にまとうことでDobrock69はどぶろくから日本酒に進化しました。
それに伴い、69という数字をひとつ進めて70にしました。
完成後のギャラリーです。普段は見えない鉄板2号。
普段から見ることのできる鉄板1号。少しガタガタするので足を貼っています。ゴム足だと重量の関係で全く動かなくなってしまうので、ラクにスベ〜ルという滑る足を貼っています。
滑る足でも8キロもあると全然滑りません笑。
AppleのMagic Trackpadを置くと、なんかすごくいい感じになります!!!!!!
これ以上写真は必要ないのに撮影してしまった
普段は見せない表情。なんか人の顔に見えてきた笑
横から見るとちょっとダサい
12.終わりに
久々に自作キーボードの記事を書かせていただきました。
正直、こんなに長い記事になるとは思っていませんでした。
ここまで気長に読んでくださった人には伝わると思いますが、手彫りのキーボードケースなんて思いつきで作るもんじゃありません笑 ましてや思い付きで鉄板を取り付けてはいけません。
でも、目標を決めてやり遂げるって辛いけど達成感があるんだな、という大切な気持ちを実感することができました。
自作キーボードって、人生の縮図なんですね!笑
最後の写真は、Ponshu70を外に連れ出した時のものです。
きちんとシートベルトしないと危ないですからね!
……小説はマイペースに着実に進めたいと思います。
最後になりますが、日本一重いかどうかについては議論の余地ありかもしれません。
僕が調べた限りでは、日常使いしているキーボードの中では恐らく日本一重いんじゃないかという感じです。
たくさんの重いキーボードの誕生を個人的に望んでいるので、できればぜひ対戦よろしくお願いいたします!(もっと重い、日常使いできる自作キーボードを誰か作って!!!!!! 作ったら重さ比べしましょう!!!!!! という意味)
さて、次の日のアドベントカレンダーの記事は、techmechさんの「OLSK60とGH60互換ケースのいろいろ」です。実は僕も一般的な60%キーボードの互換ケースを作りたいです。来年作ると思います、木で。
そして、13日のびあっこさんが〆切に間に合うことを心より願っています。(小説の〆切を守れなかった僕が願ったら良くないのか?)
この記事は、(多分)日本一重い自作キーボード「Ponshu70」(ぽんしゅななじゅう)で書きました。