ご無沙汰しております、迷走していた人生が最近定まりつつある、t-miyajimaです。
さて、今回は薪を割るための斧をリーズナブルに用意したお話です。自作キーボードのお話ではありません。。。(自キーの新しい記事は12月9日に掲載予定です)
斧が欲しいけど新品で買うほどでもない、でも中古の斧は心配だ……と思っている人のお役に少しは立てると思います。
- 1.経緯
- 2.中古の斧を入手、だが、柄にはまらない
- 3.対応策を練る
- 4.柄を太くする
- 5.下ごしらえと接着
- 6.本番の加工
- 7.刃を嵌める!
- 8.クサビの打ち込み
- 9.試し割り
- 10.クサビ作り
- 11.斧のリストア完了!
- 12.終わりに、次なる補修
1.経緯
2年ほど前、職場で針葉樹の丸太を半分にかち割る必要性に駆られていました。
丸太というのは直径25センチ〜30センチくらい、高さ80センチくらいのものです。
その時、僕は薪割りをしたことがありませんでした。
仕事で薪割りをして怪我をしたら馬鹿らしいと思い、初心者で臆病者の僕は斧ではなく薪割りクサビを選びました。
ハンマーで木にクサビを打ち込んで木を割るやつです。
1つだとクサビが食い込んで救出が難しくなるので、2個購入しました。
結果、そのクサビで丸太を割ることはできました。以下がその時の動画です。
さて、今年に入ってから自分で使うキャンプ用の薪を少量作っているのですが、もちろん僕が用意するのは大きな丸太ではありません。
このクサビで小さな木を割っていると、薪を割っているのに爽快感がありません。
あと、ハンマーとクサビの両方を用意するのが単純に面倒臭いです。
そこで、僕もついに斧を手に入れる算段を開始しました。
2.中古の斧を入手、だが、柄にはまらない
適当に斧を選んで購入し、届きました。
ぱっと見は良かったです。
が、斧の金属部分が、柄に固定されません。
それもそのはず、柄の嵌る部分が欠けています。
前の持ち主が斧で薪を割っているうちに、柄の根本に薪が当たりまくってえぐれていったのでしょう。
これでは斧として全く使い物になりません。さすが安物と言った感じです。
3.対応策を練る
さて、中古で手に入れたけれど使えないこの斧を、どうにかして使えるようにしたいところです。それも、なるべくお金をかけずに、です。
いくつか案を考えました。
- 柄を短く切り詰めて、太いところを加工して刃に嵌るようにする
- 柄を太くする
- 新しい柄を手に入れる
このうち、失敗しても再チャレンジできるのは2番目の柄を太くする、という案です。
また、僕は古い道具が好きなので、なるべく元の状態を維持したまま使いたいという思いもありました。
ただ、柄を太くするというのは正直全く方法が分かりませんしやったことがありません。
それでもどうにかして柄を太くしてみようと思いました。
4.柄を太くする
色々考えて、超強力な接着剤で別の木材をくっつけよう、という方法で攻めることにしました。
超強力な接着剤は、実はちょっと前に購入済みで、手元にありました。
タイトボンドIII(たいとぼんどすりー)というもので、木材の接着においては事実上の最強レベルのものだそうです。
※タイトボンドの公式ウェブサイト、HTTPSに対応していないですね。。。
くっつける木材は、今回はちょっと柔らかめのものを選びました。
具体的には家の倉庫に眠っていた謎の針葉樹の木材です。多分杉材です。
なぜ柔らかめのものを選んだのかといえば、最後に小さいクサビを柄に打ち込む際に、程よく変形してくれると思ったからです。
5.下ごしらえと接着
柄がボロボロだったので、マルチツールのサンダーを使ってやすりがけしました。
写真では分かりませんが、柄に刺さっていた釘は全て抜きました。これは刃が脱落しないように柄の先端に打ち込むクサビの代わりに刺していたようです。硬い木材の柄(恐らく樫の木かと思われます)の繊維方向に釘が刺さっていると柄が割れてしまう要因になると判断しました。
そして、こんな感じに柄に凹みをつけました。
凹みをつけたのは、こうすれば接着する木材がずれにくいかなと思ったからです。今思えば別にいらなかったかもです。
杉材を大きめに加工し、そちらにも凹みをつけました。
クソみたいに加工が下手くそです笑
タイトボンドIIIをつけます。
接着します。
乾燥までに1日以上かかるらしいので、しばらく待ちます。
写真では分かりにくいですが、釘が刺さっていた箇所にもボンドを充填しました。ボンドを充填することでそこから柄が割れにくくなると信じます。
待っている間に、柄全体に木材用のオイルを塗りました。乾燥していた柄がオイルで喜んでいる気がしました。
6.本番の加工
接着から5日ほど経ち、恐らく完璧に接着されたと思います。
完全スコヤで寸法をじっくりと正確に測り、カッターで寸法を墨付けして、その寸法より大きめに杉材の部分を切ります。
やすりがけしてサイズを調整します。
多分できたんじゃなかろうかという感じ。
7.刃を嵌める!
嵌めやすくするために、柄の先端部分を水に濡らします。
しばらく濡らしました。接着剤の部分が白くなっていて若干キモいです。
さて、思い立ってからここまで案外長かったのですが、いよいよ刃を嵌めていきます。
スルッとは入りません。大きめの金槌て刃の上部をガンガン叩きながら入れていきます。
入らなかったらどうしようと思っていましたが、柄を削りながら刃は最後まで入っていってくれました。
杉材の部分がちょっと分厚すぎたようで、下から出てきていました。これは綺麗に取り除きます。
8.クサビの打ち込み
柄の頭を見ると、杉材と元の柄が綺麗に並んでいるのが見えます。杉材の方に固定用のクサビを打ち込んでいきます。
杉材の中央ではなく、刃に接している部分に打ち込みます。なるべく木にダメージを与えないようにするためです。特に、元々の柄には打ち込みません。元々の柄は硬いだけではなく、元々の柄にクサビを打ち込んで割れ目が入ると、薪割りをしていて捻くれる方向に衝撃が加わった時に柄にヒビが入るかもしれないと思ったからです。
打ち込みました。杉材がめっちゃ圧縮されているのが見えます。
9.試し割り
これできちんと刃が固定されたのかを確認するために、家にあった薪を割ってみました。
しばらく割ってから刃を見ると、ちょっとずれていました。
クサビで固定していない下部の杉材が柔らかくて刃が動くようです。
どうやら、下部にもクサビを打ち込まないといけなさそうです。
10.クサビ作り
家にあった直感パイプの切れ端をクサビに加工することにしました。
これを金槌で叩いて先を細らせます。
先端をディスクグラインダーで削り、先端を折り曲げ、さらに金槌で叩き、ディスクグラインダーで形を整えました。
先端を折り曲げたのは、先端を1枚の金属にするためです。そのままだと2枚の金属になり、刺さる時に不安でした。
これを刃の下部に打ち込みます。上部に打ち込んだのと同じく、刃と杉材の隙間に入れます。
途中まで打ち込みました。
このまま打ち込むと金属の隙間が閉じてしまうので、間にもう一枚クサビを挟みます。
※この時点で、もっと長いクサビにしておけば良かったと後悔し始めます。
間に挟んだ状態でクサビを根元まで打ち込みます。
あー、柄にダメージが生じてしまいました。。。
まあ、杉材がめちゃくちゃ圧縮されていていい感じに固定されたと思います。
これで試し割りをして、問題なく刃が動かないことが確認できました。
11.斧のリストア完了!
この斧、柄の長さが90センチくらいあるので、非常に強い衝撃を加えられます。
例えば、めちゃくちゃ硬いサルスベリの木。これを薪割りクサビで割ろうとすると非常に手間で、大変なので大汗をかきます。
ところがどっこい、この斧を使えば、
サルスベリの薪も、数回振り下ろしただけでお手軽に真っ二つになります。
12.終わりに、次なる補修
今回の作業で、使い物にならなかった中古の斧の刃が固定できました!
柄を太くするという補修方法は、ウェブを探してもあんまり見ないんじゃないかと思います。
今回は柔らかい杉材で柄を太くしてみました。斧に強い衝撃が加わった時に杉材の柔らかさで衝撃を吸収して、斧が破損するのを防いでくれたらラッキーです。
次は、これ以上柄にダメージを与えないために、柄の根本(刃に近いところ)に薪がクリーンヒットしても柄が傷つかないよう、その箇所に麻紐や針金を巻き巻きしたいです。