※本記事はDombrick45プロジェクトの進捗に応じて随時更新していきます
【キーボード委託】USB mini-B/type-C両対応、最下段ホットスワップ、ネジ0本使用でモビロンバンドとシリコンマットによるマウント、ステンレス2mmボトムプレートと属性盛り盛りな45%キーボード、Dombrick45が入荷です。 pic.twitter.com/l7khaBPoba
— 遊舎工房 (@yushakobo) 2020年4月2日
Dombrick45 とは?
Dombrick45はDvorak配列志向の自作キーボードです。小型キーボードの中でも45%キーボードの分類に入り、43・45・46・48キーの4つから配列が選べます。
我々Dvorak配列使いが右手小指最下段で入力しているZキーや、「キー」という単語を打つために必要なハイフンキー、そしてマイナーですが案外使う・キーの3つが独立したキーとして搭載されています。これは小型キーボードでは珍しい方です。
完成したDombrick45 Ver.1の概要については以下のサイトに分かりやすく記載してあります。
本記事はどちらかというと上記サイトにまとめられない雑多なこととか雑味とかを色々書くための場所として使おうと思います。
自作キーボード"Dombrick45"を作っている理由
以前から持ち運びできるBluetoothキーボードが欲しいと思っていました。
これまで、いくら探してもiPhoneでBluetooth入力できるDvorak配列のキーボードは存在しませんでした。
iOS8あたりで使えた、ハードウェアキーボードをDvorak配列に変更する裏技も、最新iOSでは使えません。
Dvorak配列を操る人間は、iPhoneにBluetoothキーボードで文字入力できないのか?
この世界はDvorak配列使いに優しくないのか?
僕は、そんな世界を変えたいと思います。
Dombrickって何? 英単語?
Dvorak Oriented Mechanical Breakthough Remakable Interesting Coolest Keyboard という英単語の頭文字から取りました。「Dvorak志向の革新的で驚くべき大変興味深い最高にクールな機械式キーボード」という意味です(笑
実際は、一番キー数の少ないキー配列(43キー)を眺めていたらラーメンの丼に見えたのと、ちょうど丼の頭文字DがDvorakのDと同じだったので、名前はDombri45にしようとしましたが、Dombri45だと発音しにくいので、適当にckを付けてDombrick45としました。
自作キーボードDombrick45の目標
実現するためにある程度落とし込んだ目標
- サイズは45%
- とりあえず有線でいいから作る
- 格子配列は使ったことがないので一般的なズレ配列にする(なんて表現するかわからぬ)→row-staggered
- 左右分割キーボードにはとりあえずしない(しないとは言っていない)
- Zをきちんと用意する(40%キーボードではDvorak配列のZがほぼ存在しない)
- 頻繁に使うハイフンとか!とか?とかのキーをなるべく楽な場所に配置する
- ハイフンはいつもどおりのところに配置
- !と?はほぼいつもどおりのところに配置(!?)
- 打鍵音を静かにする
- Apple信者なのでCmdキーが欲しいしなるべくApple純正キーボードのCmdキーの位置を踏襲したい(全選択とかコピペとかしやすくする)
- カーソルキー欲しい(単純にカーソル移動はCtrl+PとかNとかで可能。カーソルキーはコピー時や文字列選択の際にすごく便利なので)
- コンパクトにするため、Pro Microは基盤裏に実装したい→Pro Microではなく基板上に部品を実装することにしました
- スペースキーはでかいほうがいいなぁ(個人的な欲望)→スペースキーのサイズを選べるようにしました
キー配列
まだPCBも作ってないのにバージョン9までレイアウトを改良してます。この作業すごく楽しい。
Dombri45のキー配列は、Dvorak orientedにしたおかげか、以下の特徴があります。
- 13.25Uというこれまでに(あまり)ない幅
- 下に行くほどキー幅が減る丼配列が選べる。43キーと46キーが丼配列。45キーと48キーは???→お盆に乗った丼配列
- 一般的な6.25Uスペースバーにも対応できそう
- 13.25Uのおかげでレイヤを用いた記号の入力がほぼ通常のレイアウトにできる(気がする)(=+¥|の4つの記号はあんまり使わないのでちょっと無視……)
- スペースバー以外は1.25Uか1Uのキーしか使わないので多分キーキャップが手に入りやすいと思う(1Uのエンターも格子配列のおかげで買える!)
- F1キーは要らないよね……?
- 43キー配列は40%キーボードの枠内に収まると思うし、すごく可愛い(何)
マウント方式・ケース
世の中にはすごく多くのマウント方式があります。
僕は面倒くさがりなので、とりあえず簡単に作れてある程度安定しているマウント方式を採用しようと思います。
その名も、PCB・モビロンゴム・シリコンシートマウント方式。
頑丈で重い板(人工大理石とかステンレスの板とか)を用意します。
その上に1mm程度のシリコンシートを1枚とか2枚とか好きなだけ敷きます。(水色)
その上に部品やスイッチを実装したPCBを載せます。(緑色)
(とりあえず面倒なので)プレートは作らず、スイッチはPCBマウントとします。
それらをモビロンゴムという劣化しないしベタベタしない輪ゴムで留めます(黄色)
こうすることでコンパクトになり、部品も最小限に抑えられるのではないかと目論んでいます。
入門PCBでためしにやってみたところ、うまい具合にいくのではないかという感触です。
PCB
設計途中のもの
PCB製造会社へ発注し、納品されたもの(Ver.ラーメン)
細かい工夫というか目論見(どう転ぶかは不明)
- 場所が空いていたのでmini-USBとUSB-Cが両方搭載可能にしてみた → 両方実装した所、どちらも使えました(もちろん同時には使えませんが)
- 一番下の行は簡単にキーレイアウトを変更できるようにホットスワップにしてみた → これ結構便利ですよ
- PCBシルクによる丼アピール → 作者としてはかなり満足なデザイン笑
2019年10月31日までの進捗
- foostanさんの「自作キーボード設計入門」を買って読む
- 自作キーボードDiscordに入門する
- Naoto Takaiさんの白ウサ本を買って読む
- ai03さんのPCB設計入門を読んで入門PCBを設計しJLCPCBへ発注
- 発注後、Digikeyへ入門PCB用の部品を5セット発注(BOMはPCB設計入門より)
- その他キースイッチとかをとりあえず発注(入門PCB用)
- 届くまでにDombrick45のPCBを設計
- マウントに必要な頑丈で重い板を発注(試行錯誤のため、ステンレス板と人工大理石の2種類)
- 入門PCBと部品が届いたので実装し、QMKファームウェアの書き込みとキーボード動作を確認
- PCBを発注(何かあると嫌だったのでJLCPCBとALLPCBの二社に発注)
- 本番のキースイッチや必要なパーツ(KailhのホットスワップソケットやダイオードやUSB-C関連部品)を発注
- 物資到着までにマウントに必要なモビロンバンドや、USBケーブルなどを発注し、ステンレス板の塗装を実施
- 到着後、部品実装しDombrick45の動作確認を行う
- 予め買っておいたXDA無刻印キーキャップだと打鍵時に指が引っかかるのでAnne Pro 2のキーキャップに変更
- シリコンスプレーでキースイッチをルブる
とりあえず10月31日までに、USB-C接続のDombrick45(Ver.ラーメン)が完成しています。
Dombrick45 Ver.1完成(2019年10月31日)
基本情報
- 基板……JLCPCB
- キー数……46キー(最下段がホットスワップなので、43キー、45キー、48キーに変更可能)
- 46キー、43キーの時、最下段両端のキーソケットの穴の隠し方……赤のプラスチックテープを貼る
- キーキャップ……Anne Pro 2 → 遊舎工房で購入したGMK Paperworkに変更
- キースイッチ……Gateron Silent Red
- ルブ……呉工業のシリコンスプレー(キースイッチ)、タミヤのチタングリス(スタビライザー)
- ボトムプレート……ステンレス板2mmに赤色のラッカー塗装
- ボトム・PCB間のスペーサー……シリコンマット2枚
- マウント……モビロンゴム
- トッププレート……無し
- ボトムプレートの下に敷く静音剤……貼ってはがせるマット(ステンレス板の下に貼って音を机に伝えなくする)
- 接続……mini USB、ならびにUSB-C 両対応
- 静音……Anne Pro 2のキースイッチ+シリコンスプレー静音化に比べ、かなり静か。夜キーボードを打っていても隣の部屋には聞こえない感じ
- 適当にマウント用の穴を開けたら適当すぎて穴がキースイッチに被るので意味がなかった笑(とりあえずモビロンゴム・シリコンマットマウント方式だと使わない)
- 使い勝手……まぁまぁ。カッコと数字を入力するためには少し慣れないといけないので最初は打鍵速度低下しますね。
- Ver.1について……Dombrick45の1号機。ラーメン丼のイメージでデザインしました。イメージカラーは赤、イメージシーズンは冬。(ATmega32U4とUSB-C以外は)お手軽実装、お手軽マウント、静かな打ち心地、コンパクトで重い。
ダメな点
- SHIFT+CTRL+TABがすごく押しにくい(左SHIFTの位置が左CTRLより内側にあるので小指でSHIFT押せなくなる)
- 1.25uのBackspaceキーキャップなんて存在しねーです!
PCBデータやビルドガイド的なやつはgithubにあります
Ver.1でやりたいこと
- 赤色に統一したいのでキーキャップも赤くしたい → どうにかできそうです
- ボトムプレートとPCBの間に敷くシリコンマットも赤くしたいなぁ → 赤いのを買いました
- 必要とする人のところへ届ける → やりたい。なぜなら、僕自身45%キーボード欲しいなぁと思った時に買えなくて困った経験があるから。僕はDvorak配列を使っている人で、45%キーボードが欲しい!という人へDombrick45を届ける使命があると思っています。
Ver.2でやりたいこと
- Bluetooth化 → どうにかできそうです
- キーキャップになるべく困らないようにキーレイアウトをもう少しだけ一般的な感じにしたい → 試行錯誤中
Ver.1完成に関しての謝辞
自作キーボードDiscordにてアドバイスを下さった皆様へ、North Faceをなるべく減らしたり、非常用に6つの端子を引き出したり、水晶振動子をATMEGAになるべく近づけたりと、より良いキーボードができてきたと思います、本当にありがとうございます。
また、ai03さんのWikiサイトやVoyagerやフットプリント等を ほぼ丸パク 多大に使わせていただき本キーボードの設計をしております。